2026年4月24日金曜日

カタナ狩り

 みなさん、お疲れ様です。

今回は筆者の趣味ゴリ押しの記事になります。


我が愛車・新型カタナのセパレートハンドル化キットが天下のヨシムラから先日発売されました(分からない人はこの時点で意味不明な文章だと思います。)


まずは歴史のお勉強から始めましょう。


革命的なデザインによって世界中を席巻した往年のカタナ(GSX1100S)にはいわゆるセパレートハンドルが採用され、低い位置で絞られて垂れ下がったハンドル形状が「刀」の名に相応しい鋭角なフォルムをより一層強調していました。

しかし、1980年代当時は安全面などを理由にメーカーによる排気量の自主規制が敷かれており、1100㏄のカタナは日本国内ではなくあくまでも国外向けの輸出専用モデルとして製造されていました。


当然ながら国内向けにもカタナは販売されており、そちらは排気量を750㏄にダウンさせた正式名称をGSX750Sというバイクでした。


この時、車体のフォルムは海外向けの1100Sのままにして排気量だけ縮小していたのであれば、特に何事もなく国内のバイカーにも受け入れられていたと思います。


こんな言い方をするということは、実際には何事かあったというお話です。



750Sの発表当時、大いに物議を醸したのが、上述の1100Sのセパレートハンドル(セパハン)とは打って変わって、アップライトなバーハンドル(バーハン)が装着されていた点でした。

※セパハン…左右のハンドルが分離されているタイプのやつ。レース用のバイクっぽい。

 バーハン…多くの人が「バイクのハンドル」と言われて思い浮かべるであろうやつ。


1100Sのセパハンは先にも述べた通り、カタナの流麗かつシャープなデザインに美しく調和した秀逸な装備であったと同時に、ライディングフォームも自然と前傾したアグレッシブなものとなるため、乗り手にとってのバイクとの一体感を高めてくれる重要な要素でもありました。


他方で、バーハンを採用した750Sに関しては、1100Sのような全体的なデザインの調和が損なわれ、なおかつ乗車姿勢も垂直寄りになるため乗り味も良く言えばマイルド、悪く言えば味気ないものとなってしまい、より強い刺激を追求していた当時の大型ライダーからは大不評だったのです。

また、1100Sのデザインが(賛否両論ではありましたが)世界的に喝采を浴びていたことで国内での期待感も高まっていたところに期待外れのパチモンをお出ししたという顛末になったため、なおさらヘイトを集めてしまったようです。


グリップ部分が乗り手側に大きく突き出された形状は「耕運機ハンドル」と揶揄され、ダサいハンドルの代名詞になってしまいました。


ただ当時のSUZUKIも(さすがのSUZUKIとはいえ)耕運機ハンドルが本心からイケてると考えてこのような改変を施したわけではなく、国内の車両保安基準(当時)に適合させるためには1100Sの形状そのままでは乗車姿勢に関する項目をクリアできずに販売できなかったことから、位置の高いバーハンに変更することによって強引に基準に適合させざるを得なかったという事情がありました。

SUZUKIなりの苦肉の策だったというわけなのです。


ですが、そのような苦心惨憺もユーザーの心には響かないのが世の常です。


耕運機ハンドルは御免被りたいが1100Sの逆輸入車は高額過ぎて手が出せない、という金欠ロクでなしライダーたちが何をやらかしたかというと…

750Sを一旦購入してから純正の耕運機ハンドルだけ取っ払い、その代わりに1100Sのセパハンに交換するといった、SUZUKIの企業努力という名の親切を仇で返すかのような暴挙に出たのでした。


まあ大型バイクは趣味の乗り物なので自分の感性にマッチしたスタイルにカスタムしていく行為自体は何も悪くはないのですが、750Sのハンドルに関しては上で述べた通り保安基準が絡む問題であり、セパハンに交換するのは一言でいえば違法改造に該当しました。

そして、耕運機ハンドルの大不評ぶりからも容易に想像できるように、当時は猫も杓子もセパハン化といった具合で上記の違法改造が続出したことから、警察側も入れ食い状態で徹底的に取り締まりを実施することになりました。


皮肉にも世界を震撼させたカタナの前衛的なデザインが仇となりバイクに詳しくない警察官すらカタナであれば一目で判別できるという状況だったため、視界に入ったカタナをとりあえず片っ端から停車させて、そのカタナが750㏄かつセパハンであれば「整備不良」で検挙するだけの簡単なお仕事だったわけです。


当時のカタナに対する当局による一斉取り締まりは「カタナ狩り」と称され未だに語り継がれるバイク界の伝説となっています。



そこから時代は令和に移り変わり自分も現在お世話になっている新型カタナが発売されたわけではありますが、生まれ変わったカタナもまたかつての伝説をなぞるようにセパハンではなくバーハンが搭載されていました。

歴史は繰り返すという言葉がよく当てはまります。


そもそも、最初こそ上で紹介した「カタナ狩り」騒動などがありつつも、1980年代中盤から規制が緩和されて、国内向けモデルでもセパハンで販売されるようになっていたので、多くのバイカーにとってはカタナ=セパハンという認識が当然でした。

そのため、伝説の名車であるカタナの復刻版と聞かされれば大多数の人間は当たり前のようにセパハンを想像するのは無理もなく、にもかかわらず、よりにもよってバーハンを採用してくるなんて消費者側は予想だにしなかったでしょう。


新型カタナは旧型カタナを忠実にリバイバルするというよりは、旧型のエッセンスを継承しつつ現代風のバイクに落とし込むというコンセプトで開発されたため、ハンドル以外の部分についてもデザインの差異が多いです。

バーハンに関しても別に750Sに寄せたいが為に採用されたのではなく(そんな不毛なことしません。)、新型カタナがストリートファイターというジャンルのバイクとして開発されたことによる必然的な選択だったといえます。


とはいえ、そういった挑戦的なコンセプトに否定的な方々も一定数(というかかなり多い)いらっしゃるわけで、バーハンが不満というよりは全体的に気に食わないデザインに対する手近な批判として「耕運機ハンドル」の異名も再びまた蘇ることになったのでした。


そんな不憫なスタートを切った新型カタナでしたが、市場の不満点は要するに旧型の完成されたデザインとの乖離が激しすぎるというところに集約されるため、メーカー各社から旧型のデザインに近付けさせる為のカスタムパーツが続々と発売されました。

冒頭のヨシムラという老舗メーカーが発売したセパハン化キットもそのうちの大きな一つです。


セパハンキット自体は数年前からいくつかのメーカーによって販売されているものの、今回はSUZUKIの盟友たるヨシムラが満を持して発売に至ったという点が肝です。

※ヨシムラとカタナとの間にも深くて強固な歴史的繋がりが存在するのですが、その話まで始めると一生記事を書き終えられないので今回は割愛します。



自分は、デザイン面はともかく取り回しの良好さから、現在のバーハンも決して悪くないとは思っています。

とはいえ、なんやかんやで新型カタナを1年半乗り続け、車検が近付いてきたタイミングでもあるので、そろそろ新しい刺激が欲しいという気持ちもあり、思い切ってヨシムラのセパハンキットを購入してしまいました。


セパハンのバイクはほんの少ししか運転したことがないので慣れるまでは苦労するでしょうが、そこも含めて新鮮な感覚を味わえそうでとても楽しみです。

発売直後からバカ売れしているのか既に在庫が切れており、私の手元に届くのは7月中旬くらいになりそうなので、あと3ヶ月くらいは耕運機とお付き合いです。

無事交換が完了したら、感触や乗り心地などをまたブログで報告する予定です。


気付けば結構な長尺の記事になりました。

全編通して何を言っているかちんぷんかんぷんだった人はすみません。


次回は誰でも読めるような内容にしたいと思います(するとは言っていない)。

ではまた。


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