2025年7月15日火曜日

雨空戻り、朝日を求めて

 みなさま、お疲れ様です。


先週の中盤くらいに梅雨前線がめでたく復活を遂げ、それ以降雨が降ったり止んだりの曖昧な天候が続いていますね。

この記事を書いている今もまさに外は土砂降りです。帰りバイクなんだが…


ってか当たり前のように「復活」とか言ってますけど、梅雨前線って何者なんですか?ヴォルデモート??



さて、今回は食レポです。

先週の金曜日、久しぶりに都内が真夏日を下回り感動的な過ごしやすさをもたらしてくれたほか、翌日土曜日も7月の東京にしては穏やかな気温であったことから、珍しくバイクではなく自転車で外出してきました。

行き先は浅草です。


全外国人観光客の憧れ、浅草。

高層ビルの居並ぶ都心において、まるで時の流れを遮断する結界でも張られているかのように今でも古き良き風景を守り続けているレトロの街です。

外国人観光客だけでなく国内からも多くの旅行客が足を運ぶような、東京を代表する観光スポットのひとつですね。


もしかしたら観光以外では浅草を訪れる機会が無いような人々の瞳には特別だったり非日常的な場所として映っているのかもしれませんが、北区の端っこで細々と暮らしている自分にとっては自転車で40分もすれば到着するエリアなのでギリギリ「ご近所」の範疇です。

そんな事実にささやかな優越感を感じたり感じなかったり…



このようにご近所をフラーっと訪れるような感覚ですので、別に雷門や花やしきみたいな賑々しいところが目的地ではありません。

今回自分が目指したのは、浅草観音の裏手にどっしりと店を構える、中華料理店「あさひ」です。



自分はこの季節、冷やし中華巡りの旅に出るのが慣行となっておりまして。


冷やし中華発祥といわれる揚子江菜館を擁する神保町にて勤務せし者としての使命感もありますが(ウソ)、そもそも自分は冷やし中華が世界で3番目くらいに好物ですので、いろんなお店の冷やし中華を食べてみたいという本能のままに動いておるのです。

意外なことにもラーメン以上に店の特色が出やすいメニューであり、オーソドックス系の中華料理店でも冷やし中華だけは奇天烈なものを提供しているパターンもあったりするので、お店を巡るというのは食欲だけではなく一種の知的好奇心も満たしてくれます。



そんなわけで訪れた「あさひ」


かの中村勘三郎も贔屓にしていた裏浅草の名店で、古くは芸者遊び帰りのお客さんたちが最後に〆のラーメンをいただく終着点として愛されてきたようですが、時代の移り変わりを経て、現在は中華料理の型枠に囚われないオリジナルメニューも多数開発するような意欲的な営業をしています。


この日、自分が注文したお目当てのメニューである「四川冷やしそば」も既存の冷やし中華の枠組みを超えたオリジナルメニューのひとつであり、ベースは普通の冷やし中華なのですが、その上から麻婆豆腐や担々麺を想起させるような四川料理風味の肉味噌がたっぷりと掛けられています。

自分は麻婆豆腐が世界で2番目に好物なので、この「四川冷やしそば」の組み合わせはいわばナダルとフェデラーがダブルスを組んだようなモンです(豆腐は入ってないですが)。


当然冷やし中華マニアの端くれとして前々からマークしており、お店を訪ねる機会を窺っていたなかで、今回ようやく念願の訪店が実現しました。


大盛り1400円と町中華にしては必ずしもリーズナブルとはいえない価格とはいえ、美味い冷やし中華のためなら全く気になりません。


そして運ばれてきた料理をみると、写真の通り、赤いソースの絡んだゴロゴロっとした挽肉が麵の上に山のように盛り付けられており、まるで火山を連想させます。

裾野には細切りの錦糸卵ときゅうりが麺を覆いつくすように散らされており、上に掛かった赤い肉味噌とのコントラストが見た目にも芸術的です。

その色合いは赤、青、黄でまさに信号機ですが、こちらの場合は箸がどんどん進むという意味合いにおいて、赤も黄色も「進め」でしょう。



さて、気になるお味は…


麺はコシがあり喉越しもよい中細麺、スープはまろやかな甘みが前面に出ながらも程よく酸味を感じる爽快な味付けで、オーソドックスの内側に繊細なこだわりを秘めたような作りです。

メインである肉味噌は、肉本来の旨味を凝縮しつつ様々な調味料によって濃厚なコクが出ており、ただ単にピリ辛なだけではないような奥深い味わいでした。


「四川」の名を冠してはいるものの、よくある四川風料理とも一線を画した独特の味付けです。

きっとこのお店が追及に追及を重ねた先に見つけた、独自の黄金比があるのだろうと推察します。


大盛りのボリュームはなかなかのものでしたが、気付けばペロリと完食。

浅草まで出た甲斐のある素晴らしい冷やし中華でした。



伝統を大切にしつつ革新的要素も積極的に取り入れる「あさひ」

それはまるで、旧来の景観を崩すことなく、しかし時代の変化からは決して目を背けず、清濁すべてを鷹揚に受け容れる浅草の街そのものを体現するかのようです。


当初は夏季限定で提供していた「四川冷やしそば」は人気のあまり通年メニューとなってしまったそうですが、やはり暑い夏に食するのがより一層美味しさを引き立てるでしょう。

この夏、ぜひ一度ご賞味ください。


それでは、また次の記事で。




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夏の終わり