みなさま、ご機嫌麗しゅう
先日、横浜地裁で期日があり、今回は自分が単身乗り込むことになったので、神田駅から京浜東北線を利用して現地入りすることにしました。
去年の12月頃の記事でも横浜地裁の話題が出てきましたね。
当時は最寄りが関内駅であることを知らずにナチュラルに横浜駅で降りようとしていましたが、意外にも横浜⇒関内で6分程かかるので、今思うと時間ギリギリを攻めるタイプの人にとっては結構危うい勘違いでした。
ウチの事務所、最寄りは神保町駅で、多少歩けば淡路町駅や御茶ノ水駅に辿り着くような立地なんですけど、どれも関内駅へのアクセスはお世辞にも良好とはいえない駅ばかりです。
メトロとJRを乗り継いで複数回の乗換えをするくらいならば、京浜東北線一本で行けた方が座れる可能性も高いし快適なのは間違いないので、いっそ思い切って神田駅まで出ることにしたという経緯です。
自転車でだいたい15分程度で神田駅には着きます。
午後の期日だったことから、せっかくですから普段は寄り付かない神田エリアのグルメを満喫してから横浜入りしようと画策し、軽く散策した際に神田駅近辺で見つけたKomi'zというカレーのお店に入りました。
小生カレーを食べるという行為に時と場所は関係ないと心得ております。
店内に足を踏み入れてみるとカウンターが10席ほど、テーブル席が何個か並べられたこじんまりとした空間が広がっており、人のよさそうな金髪のお兄ちゃんがワンオペでせっせと切り盛りしている姿が目に入ります。
順番待ちのお客さんが2人いましたが、お会計中のお客さんも同じく2人いたため、回転は速そうだと思いそのまま並びました。
その間、壁に貼り出されたメニュー表に目を通してみます。どうやらこのお店はオーソドックスな欧風カレーに多種多様なトッピングが特徴であるココイチ系統のお店のようです。
とはいえ、チェーン店がゆえに残念な意味で味の均質化がされてしまっているココイチとは違い、(おそらく)個人店のそれなので、個性的なトッピングの数々がメニュー表には並んでいました。
そのなかでも同店の看板メニューが非常に面白く、白米の上に茹で玉ねぎが丸々1個ドドンと乗っかったインパクトのある写真が目を惹きました。
しかも、大胆にも正真正銘の淡路島産玉ねぎを躊躇なくブチ込んでいるという衝撃のトッピングです。
ワンオペだからか予想よりは待たされましたが、それでも15分ほどで座席に案内されます。
(玉ねぎいっちゃうか…でも肉っ気も欲しいな…)などと心の中で葛藤してたので案内までは体感的にはあっという間でした。
葛藤の末、動物性タンパク質の誘惑には勝てず、から揚げ(なんと1個50円!!)と数量限定のチーズフライ、そして申し訳程度の野菜要素としてハーフねぎをトッピングすることにしました。
そこまでは順調そのもの、何も問題ありませんでした。
しかし、辛さが10倍、30倍、50倍、100倍とあったので、普段のエチオピアと同じノリで50倍を選択してしまったことから事件が起こります。
間もなくして注文したカレーが運ばれてきます。
浅めの大きなお皿に若干赤黒いルーがなみなみと注がれており、ライスの上には追加注文したから揚げとチーズフライがちょこんと座っています。
まずはルーを一口。
これはこれは…ほろほろになるまで煮込まれた牛肉と玉ねぎがしっかりと溶け込んでおり、深いコクのあるカレールーです。
そしてスパイスは苦味系で、こちらもふんだんに使用されているのが一口でわかりました。
スパイスというと刺激!!激辛!!というイメージが湧くかと思いますが、実はターメリックやカルダモンといったカレーには必須級のいくつかのスパイスは苦味の素でもあります。
スパイス系のカレーが独特な風味をしている大きな理由の1つは、スパイスの苦味が日本料理にはみられない味の複雑さをもたらしているからであると個人的に考えています。
インド系のカレーは他にも様々なスパイスや具材を豊富に投入するので結果的に苦みが紛れ、形容し難い味わいになっているケースが多い印象です。
他方、欧風カレーのお店では辛さマシマシ(何十倍とか)にするために特定のスパイスのみをブレンドして作った調味料を大量に追加することが多く、辛くすれば辛くするほどスパイス本来の苦味が分かり易く際立つようになります。
(余談ですが、竹橋にボルツという有名な老舗カレー店があり、そのお店が提供している辛さ30倍カレーもかなり苦味が強かった記憶です。)
自分が注文したカレーも、一口食べた瞬間にスパイスならではの薬草的な苦味が舌にズシリと響きましたので、コイツは結構な分量が使われているなと直感しました。
と、余裕ぶって味の分析をしていられるのも束の間だけでした。
……辛いッ、辛すぎるッッッ!!
数秒遅れで怒涛の辛さが口内を猛追してきます。
大量に投入されたスパイスが味覚を直に殴りつけてくるかのような、暴力的な刺激が容赦なく襲い掛かってきました。
エチオピアやその他カレーの名店、もっと言えば中本などの激辛ラーメン系も渡り歩き、すっかり辛さ慣れしてしまっていた自分にとって、久方ぶりに激辛料理という存在への恐怖を思い出させられた瞬間です。
(やべえよ…ルー特盛にしちまったよ…)という心の声が、玉のような汗となって全身から吹き出します。
一口食べ進めるごとに指数関数的に攻撃力が増幅されていく強烈な辛味と格闘しながらも、スプーンを口に運ぶ手は止まりません。辛さは尋常ではないですが、その辛さに負けないだけの確かな旨味がありました。間違いなく逸品です。
トッピングの揚げ物も出来立てアツアツの状態で提供され、味の濃いルーとの相性も抜群です。
特にから揚げはにんにく醤油でしっかりと下味がつけられており、欧風カレーの味わいとの対比でよいアクセントとなっていました。
胃袋に溶岩を流し込まれているような痛みを伴う熱さに苛まれながら、減量中のボクサーのように汗だくになりながら、黙々と食し、遂には完食です。
皿の底がみえた…その瞬間の達成感たるや、司法試験の比になりません。
無事に完食できたからこそ自信をもって言うことができますが、大変に素晴らしいカレーライスでした。
壁には芸能人のサイン色紙がいくつか飾られており、もともと地上波でも紹介されたことがあるなどの有名店だったようです。
本当に偶然見つけたお店だったわけですが、もしかしたら何かの運命だったのかもしれません。
それにしても今回注文したのは所詮辛さ50倍、さらにその上の辛さ100倍が存在するという事実に戦慄します。
激辛マニアの習性として、自分が食べられる辛さまではさも偉大なことのように自慢げに語るのですが、自分が食べられない辛さになった途端に、それを食べられる人間は味覚障害の頭がおかしいヤツだと貶しだすというものがあります。
いわゆる負け惜しみというやつですね。
それを踏まえたうえで言わせてもらいますが、辛さ100倍を頼むヤツはきっと頭がおかしいに違いありません。
とにもかくにも、素敵なお店をまた一つ見つけてしまいました。
事務所からは距離があるので行ける機会は限られてしまいますが、むしろアキバから近いので休日にラジオ会館とかで遊ぶついでに立ち寄ることができそうです(ちなみに日曜定休)。
このあと時間差でやってきた腹痛にのたうち回ることになるのですが、それはまた別のお話。
それではみなさん、激辛カレーには気を付けてください。